酸化と還元について理解をすると、一見関係無くみえてしまう「場」の良し悪しについて、土地環境が電子リッチであれば動植物の生育に良い結果をもたらすことを理解しやすいと思います。
炭素埋設法は、土地の電子密度を高める=電子リッチな環境をつくるものですが、前回ご紹介したように、これは半世紀前の物理学者である楢崎皐月博士が体系化し世の中に提唱されました。
それは一体どのようなメカニズムだったのでしょうか?
もともと、人の生理作用の本質的な原動は電気であるという考え方があります。
神経が電気信号により各部位が活動しますが、私たちの細胞は常に短いリズムで変動しているだけでなく、大気の電気現象にも影響を受けています。
例えば人の皮膚を例に取ると分かりやすいと思います。
通常皮膚表面の電位変動はわずかです。
きわめて微弱な電位差しかないのですが、皮膚は損傷(傷つく)するとその部分に大きな電位差を生じます。
一般に認知されている鍼治療はそれを利用した治療法でもあります。
大地も皮膚と同じように考えられます。
土地に穴を掘ることにより、周辺の電位構成は変化します。
そこに炭素質を埋設することで安定的に誘電効果を図ることができます。
それが炭素埋設法の基本です。
炭素は良導体であり、電気やエネルギーを吸収し、吸収したエネルギーを蓄えるという性質を持ち、炭素埋設はいわば電池を埋めるようなイメージかもしれません。
この性質を利用し、土地環境の電子密度を高めることができ、電子を供給することで酸化物質を還元、すなわち抗酸化力を有すると考えられます。
結果として、炭素埋設法は、埋設により土地の電子密度を高める=抗酸化環境=イヤシロチに改善することができる、と言えるわけです。
炭を使って電子密度を高める方法により、結果としてその抗酸化効果を発揮した事例は古代にもあります。
例えば、20年以上前、中国で発掘されたある遺跡「馬王堆漢墓(まおうたいかんぼ)」ではミイラの保存状態が大変良好で、皮膚には弾力があり、胃の中には食べ物までも残っていたそうです。
その遺跡は、棺の周囲は木炭が敷き詰められていたそうです。
●馬王堆漢墓(まおうたいかんぼ)断面図
このような事例は中国に限らず日本でも見られます。
古い寺社仏閣などでは、地中には炭が埋められ宝物が保存されてたなどの発掘事例が多々あるようです。
古代の人たちは、現代のような科学技術なくしても、その鋭敏な感覚で炭を埋設することが何がしか良い作用をもたらすことを会得していたのですね。
いわば、古代から行われていたことを科学的に体系化したものが現代の「炭素埋設法」といえるのではないでしょうか。
現代【特に私たち】は、電子密度を高める手法として埋設を行いますので、その材料は特性をしっかり押さえたものを使わなければなりません。
消臭などに使われる置き炭などと埋設する炭は一緒ですかと、よく質問を受けますが、一言でいえば全く別物であるのが本来です。
木炭と言われるものにもいろいろな種類があります。
例えば、火をおこすために使うバーベキュー用に使う木炭は、比較的低温で焼成しています。
そのため、ほとんど上記のような誘電作用はありません。
誘電作用をもたらすには、炭化していることが条件で、しっかり高温で適切に焼成したものを使わなければなりません。
炭は多孔質による吸着効果が一般に認知されていますが、炭素埋設における炭の効能とは別次元ということになります。
炭の世界は非常に奥深く、古来から人間生活にもいろいろな形で浸透しています。
埋設で土地環境を改善することは、まだ一般的とは言えませんが、大きな可能性のある分野と言えます。