日本の家は断熱性が低い?
世界的にみて、日本の家の断熱性は非常に低いレベルと言われています。冬には室内から外へと熱が大量に逃げていくため住宅内に温度差が発生しやすくなります。
その結果、常に人がおらず暖房をしていない部屋(起床時の居間、冬のトイレ、浴室など)や廊下の室温はとても低くなります。
特に、高齢者の影響が顕著で、65歳以上では50%以上が住宅内で熱中症に襲われています。
低性能の家ではエアコンの効きも不十分で、
夏の暑さがストレスを増し、家計にも影響を与えてしまいます。
冬場は住宅室内の温度差による健康被害が多く発生しています。
年間約19,000人以上がヒートショックなど家庭内事故の犠牲に!
これは交通事故の5倍近くともいわれています。
そうでなくても、夏涼しく冬暖かく快適に過ごしたいものです。
室内はできるだけ温度差がなくエネルギー効率も高い住まいが良いでしょう。
だから、健康快適生活のためには温熱性能を考えることが大切です!
人が住居内で暑さ・寒さを感じているとき
人が温熱的に快適と感じるのは暑くも寒くもない状態です。
体の中でできた熱(産熱)と体から逃げていく熱(放熱)の量はイコールです。
産熱より放熱が多いと寒く感じ、逆に少ないと暑く感じます。
また、人が温熱について身体で感じているのは
①部屋の温度 だけではありません。
②湿度
③気流
④壁(内装面)の温度
⑤服装
⑥運動量(代謝量)
これら6つの側面から総合的、客観的に評価したものが、予測平均温冷感申告です。
多湿も乾燥もよくないですし、肌が触れる部分の材質も影響します。すなわち、住宅内においては、空気中の温度だけではなく、床、壁、天井の表面温度に影響を受ける放射温度なども温熱の体感上における快適性が異なるということになります。
温熱の観点から快適性を保つために必要な要素
以上により、温熱の観点から快適性を保つために必要な要素を列挙すると
①温熱性能を高め、少ないエネルギーで年中快適温度を維持できること
②湿度を適度(人が快適を感じるのは40~60%と言われます)を保つこと
③空気が澱まずに適切に流れるよう配慮された設計
④内装はできる限り人間にとって温かみのある素材(無垢の木、そして塗り壁材)
といった点に配慮したい、ということになります。